リード競技規則
リ ー ド 競 技 規 則
(平成20年大分国体から実施)
第1章 総 則
第1条(定 義)
- リード競技は,選手が,所定の競技場において,規定の用具を使用して下方から確保された選手がルートをリードで各クイックドローに順番にクリップしながらクライミングし,その到達高度(トラバース又はルーフの部分ではルートのアクシスにそった最長距離)を競う競技である。
- 競技場は,クライミング・ウォールを使用する。
- 競技は,チーム単位で実施する。選手は2名とし,各別のルートをそれぞれがクライミングする。
- 審査は,別に定める項目について行い,その判定は社団法人日本山岳協会(以下「日山協」と略称する。)公認審判員が行う。
第2章 競 技 場 及 び 用 具
第2条(競技場)
- 競技場は,日山協が認定したものでなければならない。
- 競技場の設定は,別に定める山岳競技施設認定規則による。
- ルート・セットは日山協公認のルート・セッターが行う。
第3条(用具)
- ロープは,国際山岳連盟(以下「UIAA」と略称する。)が公認するシングル・ロープを使用し,競技会主催者(開催地実行委員会。以下同じ。)が準備する。
- 競技会に使用される各確保支点は,選手がロープを通すカラビナのあるクイックドロー・スリングを備えていなければならない。
- クイックドロー・スリング(中間をカラビナで連結されていてはならない)と確保支点の結合は,UIAAが公認した10mmのマイロン・ラピッドで行われなければならない。そのスリーブは,製造者の認めた仕様書に従ってしっかりと閉じられていなければならない。通常のクイックドロー・スリングより長いものが必要な場合は,少なくとも同等の強度を持つ,1本のテープでできた機械縫いのテープスリングを,通常の短いクイックドロー・スリングに替えて使用しなければならない。
第3章 競技の実施
第4条(競技の構成)
- 競技は,種別ごとに1チームを選手2名で実施し,これをチーム単位で審査する。
- 競技のチーム数は,予選を47チーム以内,決勝を8チーム程度とし,日程は審判長が定め実施要領に公表する。
- 選手,監督の構成は,次のとおりとする。
(1) 監 督 種別ごと 1名
(2) 選 手 1チーム 2名
- 競技役員の構成は,次のとおりとする。
(1) 審判員 主任審判員 1名
副主任審判員 2名
審判員 5名
(2) 競技委員 チーフ・ルート・セッター 1名
ルート・セッター 3名
ルート作業員 4名
ビレイヤー(確保員) 10名
通信・連絡員 3名
計測・記録員 2名
医務員 2名
(3) 補助員 若干名
- 競技の日程は,予選,決勝の2日間とする。ただし,種別によっては予選と決勝を同日に開催してもよい。決勝で1位に同着があった場合は,同日にスーパーファイナルを実施する。
- 1日の競技時間は,1種別あたり原則として8時間以内とする。
- 1チームあたりの競技時間は6分前後とし,審判長が定めて開始通告時に公表する。
- 競技は,選手が2面のクライミング・ウォールを使用し,チーム単位で同時にクライミングして実施する。2面のクライミング・ウォールは,同一形状とし,同一のルートをセットする。
- 競技は,オンサイト方式とする。
第5条(競技の方法)
- 集 合
競技に参加するチーム(選手2名,監督1名)は,指定された時刻までに指定された場所に集合する。
- 開始通告及び点呼
主任審判員が競技開始通告を行う。その後審判員は点呼を実施して必要事項の説明及び注意事項を伝達する。
- オブザベーション
(1) オブザベーションは,共通規則第32条にしたがって行う。
(2) 原則として種別単位で,各チームの選手2名,監督1名が一斉に行う。オブザベーション時間は6分を標準とする。ただし,監督は選手のオブザベーションの妨げにならないようにしなければならない。
(3) ウォール又はホールドに触れることができる。ただし,身体全体が床面から離れる状態でウォール又はホールドに触れてはならない。
- 確 保
選手の確保は,ビレイヤーが行う。ビレイヤーは,コール・ゾーンにおいて選手とスタートの準備をする。
- 競技中
(1) チームごとに選手2名が同時にスタートする。
(2) 監督は,スタート後すみやかに競技エリア内の指定された位置につく。
(3) 選手は,競技中他のチームの選手,監督若しくは観客等と接触し又は競技に関する会話を交わし若しくは助言等を受けてはならない。監督も競技中はムーブに関する会話を選手としてはならない。
(4) チームの選手2名がクライミング・ウォールの基部の競技エリアに入る時点で,チームの競技時間の計時が開始される。各選手は,アテンプト開始前に40秒間の猶予が認められる。この40秒間の最終準備は,競技時間全体の一部である。
(5) 選手がスタート後40秒を経過した時点でアテンプトを開始しないときは,審判員は直ちに開始するよう指示する。この場合,競技会係員のアナウンスにより代用することができる。選手がクライミング・ウォールに触れ身体全体が床面から離れたときにアテンプトを開始したものとみなす。
(6) 審判員は,それぞれの選手に対し,残り競技時間60秒前と競技時間の終了を告知する。
この場合,競技会係員のアナウンスにより代用することができる。選手は,随時残り競技
技時間を競技委員に確認することができる。
(7) 選手は,クイックドローのカラビナに順番にクリップしなければならない。選手はレジジティメイト・ポジションでクイックドローにクリップしなければならず,同様に身体の全てがルートのライン上のクイックドローの下側のカラビナを越えないか,又はルートのラインに沿って戻ることなくクイックドローにクリップできなければならない。「戻る」とは当初の位置から移動する際に,手が両方とも当初のホールドから離れることをいう。
(8) 安全上などの特別な状況があるとき,主任審判員は第5条5-(7)を修正適用し,特定のクイックドローについて,特定のホールドかその手前からクリップするように定めることができる。これについては,選手に対して開始通告時に告知し,そのホールドとクイックドローは明瞭に青の十字でマーキングをし,オブザベーション中に指示する。
(9) 選手がロープをカラビナにクリップする際に,Zクリップなど何らかの誤りがあった場合,選手は必要があればクライムダウンして,下のカラビナのクリップの解除と再クリップをすることができる。最終的にすべての確保支点にクリップされていなければならない。審判員は,それ以上の進行に安全上問題があると判断した場合,アテンプトを終了させ最高(最遠)到達距離を計測する。
(10) ルート上のホールドは審判員が,チーフ・ルート・セッターと協議の上,クリーニングしなければならない。選手はルート中のいかなるホールドも,クリーニングすることは認められない。
- 計測終了
アテンプトを中止したとき又は完登したときに計測を終了する。
- ロワー・ダウン
選手は,ビレイヤーによりロワー・ダウンする。ロワー・ダウン後,速やかにロープを解き審判員又は競技委員の指示に従い指定エリアに移動する。
- 終了通告及び解散
主任審判員は,班ごとの競技が終了し,各チームの選手2名と監督が揃ったことを確認した上,最終選手が競技を終えた後の時間に配慮して競技終了通告を行い,解散する。
第6条(テクニカル・インシデント)
- リード競技におけるテクニカル・インシデントとは以下のようなものである。
(1) ホールドの破損又は緩み。
(2) クイックドローのカラビナが正しい位置にない。
(3) ロープが張られることで,選手の補助又は妨害になった。
(4) その他,選手の動作の結果でないところの事柄が,選手に不利又は有利にはたらいた。
- 選手が墜落し,それがテクニカル・インシデントに原因すると申告した場合,選手は直ちに別に設けられたアイソレーション・ゾーンへ移され,テクニカル・インシデントに関する調査結果が出るまで待たねばならない。
- テクニカル・インシデントを被った選手は,別に設けられたアイソレーション・ゾーンでの回復期間を認められ,その間は審判員又は競技委員以外との接触は認められない。このアイソレーション・ゾーンも,何らかのウォームアップ設備を備えていなければならない。当該選手が要求できる回復期間は,最低20分,最大はテクニカル・インシデント発生までに使用したハンドホホールド1個当たり2分とする。主任審判員は選手の要求に基づき,選手の再アテンプトの時刻を決定する。再アテンプトの時刻は,影響を受けるすべての選手に告知されなければならない。
決勝では,回復期間は最終選手がそのアテンプトを終えてから20分を越えてはならない。予選,決勝を問わず,再アテンプトが最後のチームの後に行われる場合,テクニカル・インシデントを被った選手のインシデント発生時の成績が,すでにそのラウンドで単独1位となっているのであれば、その選手の再アテンプトは認められない。
- 再アテンプト終了後,選手はそのアテンプトの中で達成したよい方の成績が認められる。
第4章 審査基準
第7条(高度計測)
- 計測は,墜落又は審判員の指示によって選手がクライミングを中止したとき,チーフ・ルート・セッターが規定したルート・ライン上の保持又はタッチした最高遠点のホールドで選手の成績を決定する。
- 各ホールドはチーフ・ルート・セッターによって,競技会の競技開始前に指定し,審判員が使用するルート図に記入されたもの,又は競技会の競技中に選手が有効に使用したものとする。選手が,チーフ・ルート・セッターが特定しないホールドにタッチしても,そのホールドは選手の成績決定には考慮しない。手で使用したホールドだけを計測の対象とする。ホールドは,クライミングに使用可能な部分だけとし,選手の成績を測定する。
- 審判員の決定により保持されたと見なされたホールドは,タッチしただけのホールドより上位とする。
(1) 保持したホールドの高度には末尾符号をつけない。
(2) タッチしたホールドの高度にはマイナス(−)の末尾符号をつける。
(3) 保持し,その地点からルート上を前進するための動作を起こしたホールドの高度にはプラス(+)の末尾符号をつける。
- 選手の明らかに差異のあるパフォーマンスを,可能な限り区別するための各ホールドへのタッチ(−)と保持の,また保持とプラス(+)の区別の境界線の決定は,審判員の裁量による。
第8条(アテンプトの終了)
- 完登とは,最終クイックドローのカラビナ等にロープをクリップしたときをいう。
- 次の項目の一つに該当したときは,完登と認めずアテンプトの終了を宣告する。
(1) 墜落した。
(2) 競技時間を超えた。
(3) 壁に触れることが制限されている部分の表面に触れた。
(4) 使用が制限されているホールドやはりぼてを登るために使用した。
(5) クライミング・ウォールに開けられているボルト・オン・ホールド取り付け用の穴を手で使用した。
(6) 登る壁の左右又は上端のエッジを使用した。
(7) ボルト,ハンガー,クイックドローを登るために使用した。
(8) クイックドローへの規則に従ったクリップを行わなかった。
(9) スタート後,体の一部が地面に触れた。
(10) 何らかの人工登攀を行った。
(11) 未クリップで選手の身体のすべてがクイックドローの下のカラビナを通過したと認めたとき。ただし,ルート設定上止むを得ないものとして,チーフ・ルート・セッターが認め,かつ,主任審判員が認めた場合はこの限りでない。
(12) Zクリップに対する審判員若しくは競技委員の注意を無視し,競技を続行して選手の身体のすべてが上部のクイックドローの下のカラビナを通過したと認めたとき。
(13) オンサイトの規定に反した。
(14) 待機中の選手(審判員又は競技委員の指示により,待機態勢に入った選手をいう。以下同じ。)が,アイソレーション・ゾーンやコール・ゾーンから退出した。
(15) 待機中あるいは競技中の選手が,競技を終えた選手,監督その他の者と接触し又は競技に関する会話を交わし若しくは助言等を受けたとき。ただし,接触又は会話等を交わした者等に故意が認められ,当該選手若しくはそのチームに不正が認められないときはこの限りでない。
(16) 審判員又は競技委員の指示がある前に競技エリアに入った。
(17) 共通規則第40条(競技の中止)の規定に抵触し,審判員が競技を中止させた。
付 則
- この規則の改廃は,理事会で行う。
- この規則は,昭和51年5月23日から施行する。
昭和54年5月27日 改訂
昭和55年5月25日 改訂
昭和56年5月24日 改訂
昭和58年5月22日 改訂
昭和62年9月10日 改訂
平成 5年11月7日 改訂
平成 9年3月23日 改訂
平成10年3月15日 改訂
平成11年3月14日 改訂
平成13年3月25日 改訂
平成14年3月17日 改訂
平成15年5月25日 改訂
平成18年5月21日 改訂(平成20年4月1日から施行する。)