長野県山岳協会
NAGANO.MOUNNTAINEERING.ASSOCIATION.JAPAN【N.M.A.JAPAN】

2009年度長野県山岳協会 総括報告


 はじめに、去る3月23日に逝去されました柳澤昭夫会長の御霊に衷心より哀悼の意を表します。柳澤会長は長きにわたり、我々長野県山岳協会のみならず日本の山岳界のリーダーとして、活躍されました。最晩年の6年間は3期にわたって長山協の会長として、その礎をより強固なものにしていただきました。柳澤会長のお考えを受け継ぎ、さらに発展させていくことをここに誓うものです。

 さて、柳澤体制3期目の2009年度はこれまでの取り組みを継続し、協会活動、加盟団体活動をより充実させる方向で、理事一丸となって協会運営を進めてまいりました。
 前年に引き続き協会運営の基本姿勢を「協会員にとって協会が如何にあるべきかという視点に立った運営」という点におき、同時に協会規約に明記されている「正しい登山を指導普及してその健全な発展をはかり、あわせて加盟団体の交流をはかりながら、国民体育ならびに文化の向上に寄与することを目的とする。」という観点とも合わせて活動してきました。より具体的には協会内部の課題として、加盟団体並びに組織の活性化、また外部の課題としては長野県を代表する登山団体として様々な社会的責務を担うという両面を活動の主眼においてきました。
 山岳会の衰退の中で「協会」の役割が見えにくくなってきた昨今、協会員のニーズを正しくつかみ、それに沿った形で一人ひとりの顔が見えるような運営をしていくことがこれまで以上に求められていると考えています。この様な中、従来通りそれぞれの支部、各委員会が実質的に機能することを最優先とした運営を継続して来ましたが、まだ不十分な点も多く、今後も現状課題の再検証、新たな課題の把握について怠ることなく対応し、その解決に向けた努力が不可欠であると考えます。
 今年度は指導委員会の協力の下「中高年安全登山指導者講習会」(中部地区)を主管しました。増加傾向にある中高年登山者、また未組織登山者への安全登山の普及啓蒙という点では、従来のこの講習会へ一石を投じ、今後の方向性を示す有意義な講習会となりました。
 今年度において特筆すべきは「競技登山における努力と成果」「自然保護委員会におけるフィールドワークの充実」「ジュニア登山教室の実施」「長山協ミーティング」などが挙げられます。また、2011年に迎える長野県山岳協会50周年に向けて、その記念事業の推進役となる「実行委員会」も具体化に向けて動き始めました。

  1. 登山の普及・技術の向上・啓蒙活動

    登山の普及は、協会加盟団体の活動そのものであると同時に、協会、加盟団体の持てる力の社会還元の二面を持っています。後段の社会還元については山岳協会、各山岳会が社会的にも認知されることで、個々の登山活動の展開にも優位な影響を及ぼすものと考えられます。その意味で今年度の「中高年安全登山指導者講習会」(中部地区)での長山協の取り組みは中高年登山に対しての大きな社会還元であったと捉えることができます。
    各支部の独自企画による夏山登山教室については、中信支部が荒天のため中止せざるを得ませんでしたが、他支部において重要事業として捉え着実に実施されました。県の遭難防止対策協議会から補助金をいただいていることからも分かるとおり、経年的に行われてきた実績に対しその意義は社会的にも充分に理解されています。今後さらに洗練され充実を図って行くことが期待されます。
    指導委員会と遭難対策委員会では、ここ数年の流れを受け、山岳総合センターとのタイアップによるレスキュー研修会(夏冬2回)、長山協キャンプでの合同研修会を実施しました。内容面では非常に充実しているものの、参加者に固定化の傾向が見られており、活性化に向けた活動が課題といえます。なお、指導委員会においては、有資格者による指導員会組織が確立されており、自立的な運営が継続されました。しかしながら指導員制度の変更に伴い資格取得に共通科目の義務づけがされるなど負担の増加が生じるとともに、山岳団体における新入会員減少という現状の中、今後の指導員資格者養成にあっては、経験則も含めた技術、理論の向上等現有資格者の自覚も促しながら、次代に伝えていくことが大切です。
    自然保護委員会では、5月に長野県自然保護連盟とタイアップしての「エベレスト山群環境トレッキング」を行いました。帰国後も機会を捉えて実態が報告されており、学習を活かす取り組みが続けられています。一昨年度から独自活動として行っている山のトイレ問題や、鹿の食害の問題を学習してきました。その一環として夏には八ヶ岳で、冬には上高地でと二回のフィールドワークを行いました。
    ジュニア委員会では山岳総合センターとの共催、競技部との共同歩調によるスポーツクライミングを主体に人工壁だけでなく自然の岩場も活用した中高生の育成への取り組みを継続し、国体、JOCジュニアオリンピックでも活躍する選手を育ててきました。経年的に行っているフリークライミング強化プロジェクトの成果が現れてきており、岩場で登れる若者が6名育ってきています。また、昨年まで課題としてあげられていたジュニア層へ野外活動の素晴らしさを伝える取り組みを行うことができました。今後への足がかりとなる取り組みとして評価できます。

  2. 競技登山

    2008年度大分国体からは、リードクライミングとボルダリングの2種目での競技となり、身体能力と人工壁でのトレーニング量の多少が勝敗を決する競技となりました。選手育成はもとより、審判員の育成に関しても昨年度に引き続き取り組みましたが、現実問題として広く協会内に認知された取り組みにまでいたってはいないのが現状といえます。
    しかしながら、第64回国民体育大会(新潟県)の予選会として石川県で開催された北信越国体では、11年ぶりに全種別本国体出場という快挙を果たし、本国体においてもそれぞれの種別において自己の持てる力を十分発揮し、成果をあげました。とりわけ少年男子のボルダリングは1位、リードクライミングは3位と3年連続での入賞を果たしました。さらに第12回JOCジュニアオリンピックにおいても出場した選手は好成績を収めました。ジュニア委員会と競技部が合同で行っている強化の結果が現れてきたものと思います。
    日本山岳協会主催による「第5回山岳スキー競技日本選手権大会」は「第2回山岳スキー競技アジアカップ」を兼ねて小谷村において開催され、地元である当協会は過去の大会同様北信越各県、日山協派遣役員からの支援を得て企画運営に協力しました。

  3. 国際登山・国際交流

    国際部では秋に海外登山研究会を、また冬には共催で山のセミナーを開催し、情報交換の場を設定しました。個人でチームを組んで世界レベルの登山活動を行った加盟団体会員の存在も見逃せませんが、現実問題としては国際登山の実行が大変に困難で情報や報告が活かされにくい状態が続いています。
    交流関係では、協会役員の訪問の機会を捉えてネパール山岳協会、中国登山協会との間でそれぞれ懇談の機会を持つことができました。

  4. 事業部

    新たな企画として長山協ミーティングを行いました。まずは集まることを主眼に行いましたが、今後は中身の充実を図っていくことが求められています。また、国際部、医科学委員会、自然保護委員会の3者共催の山のセミナーについては、事業部が企画調整を行いました。スムーズな進行と盛り沢山な内容で好評でしたが、内容により時間配分に傾斜をかけるなどの要望が出されました。

  5. 医科学

    昨年に引き続き「やまなみ」で「登山の医学」連載、事業部が企画調整し、国際部会、自然保護委員会と合同で「山のセミナー」を開催しました。山のセミナーにおけるトレーナーによる「テーピングの話」は好評でした。登山者の立場にたった医科学委員会であるために、今後はこういった協会員のニーズにあった企画をさらに検討して行きたいと考えます。登山者の山岳高所における影響を調査するためのフォーマットを作成し、試験的にデータを取りました。今後、専門家の意見を聞きながら、どう進めていくのかが課題です。なお、医科学委員会でパルスオキシメータを一台用意してありますので、活用していただきたいと思います。

  6. 事務局(総務・財務・やまなみ・ホームページ)

    収入収支については、理事などの個人負担も少なからず残る中、「やまなみ」発行回数、連絡通知のメール化による郵送経費削減等により収支バランスは良くなりました。今後も有効かつ適切な予算執行を進める必要がありますが、ここ数年の電子化により財政的にはゆとりが生まれている一方で、一方通行のメールは情報伝達という点で紙ベースの情報のような確実性に欠け、周知徹底が十分図れていない現状が生まれています。重要な情報は、郵送・メール便等を使うことを改めて考えることも必要です。
    「やまなみ」は予定通り4回の発行を行いました。また情報提供は各会へのメール、FAX、「長山協メール通知サービス」へのメールおよび協会ホームページの活用により、現段階としては良好な状況で行えたものと考えています。今後、ホームページ掲載のタイムリー化、適時の更新のための方策を考え、また当協会の旧名称を名乗る他団体との混同を社会に招かないよう引き続き注意を喚起し、未だ混同したリンクを張るホームページ開設者に対しての働きかけを行っていく必要があるものと考えます。

  7. 長山協50周年記念事業実行委員会

    2011年に50周年を迎える長山協の節目の年に記念事業を行うべく、実行委員会を立ち上げ、その具体化に向けて3回の会議を開催しました。



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