事務局 2010年度活動方針


長野県山岳協会は2011年に前身の山岳連盟時代から数えて50周年の節目を迎えます。協会設立の原点に立ちつつも、半世紀の長山協の総括をし、新たな未来を展望するような協会運営に心がけて行きたいと考えています。
山岳会の会員減少、高齢化などが言われる昨今ですが、現在長山協に所属している会員数は「一般山岳会」34団体844名、「中高年登山協」442名の合計1300名弱となっています。2000年には「一般山岳会」で1076名が名を連ねており、当時明確な位置づけをされていなかった「中高年登山協」も450名程度と推定されます。この10年弱の間に、会員数で15%の減少があったことがわかります。一方でこれまでやや曖昧であった「中高年登山連絡会」を2002年度に発展的に継承して、その名が示す、いわゆる「中高年登山者」を長山協内に明確に位置づけをして組織しました。このことはその後の活発な活動を見ても、望ましいことであったと考えています。本年度は、これを発展させ、理事会内に中高年担当理事をおき、より積極的に中高年登山者と向き合っていきたいと考えています。
とはいえ、いわゆる「一般山岳会」の会員数が減り、高齢化が進行する中で、「山岳会」自体の機能が果たせなくなっているのではないかという声も耳にします。山で目にするのは、今や「未組織登山者」や「ガイド登山」です。そんな現状の中で、長山協に与えられた課題は山積しています。「登山活動を行うための山岳協会であること」を第一義に目的、意義に則った協会構築を引き続き目指すとともに、協会員への周知に努め協会活動と協会員の登山活動との関わりの理解を深め、協会と加盟団体ひいては加盟団体会員との意識乖離の解消に努めます。そのために各委員会の連携を密にし、効果的かつ効率的な事業実施を検討するとともに委員会活動の活性化についても研究検討を行います。また、支部活動への副会長等の参画を推進し、相乗的な活性効果を目指します。
長野県山岳協会が社会的に認知される山岳団体であるがため、より一層足腰が強く一丸となった協会を目指し、また協会員に有益な態勢を整えるために関係機関への働き掛け、協会の持つ能力の社会還元など対外的な活動も可能な範囲で行っていきます。昨年9月に行われた「中高年安全登山指導者講習会(中部地区)」は指導員をはじめとする協会内の多くの方のご協力により、参加者はもちろん主催者である日山協、登山研修所からも一定以上の評価をされました。このことは、文字通り「長山協の底力」であると考えています。
50周年記念事業については、加盟団体の協力をいただきながら、この一年をかけて計画の具体化を図っていきます。
  1. 登山の普及・技術の向上・啓蒙活動

    • 支部による夏山登山教室のさらなる充実に努めます。
    • 山岳センターとの連携や様々な機会を捉えた正しい登山の普及を推進し、併せて協会員への還元を促進します。
    • 競技部とも連携しながら20年度から実施された国体種目変更に対応する組織形態の確立、審判員などの育成に努めます。
    • 自然保護と登山者の果たすべき役割、共生のための一定の方向性を導き出す活動を関係機関とも協議しながら推進します。
    • 一昨年度から取り組みを始めた山のトイレ問題やニホンジカを中心とする野生動物と山岳環境についての学習などを通して、更に踏み込んだ状況把握に努め、その方向性を探ります。
    • ジュニア層の育成を考え、クライミングジム等との連携や登山を通じた自然体験など幅広い活動を具体的に推進するとともに、学校登山への支援について検討を行い安全で楽しい登山への誘いの可能性を探り、将来の登山愛好者育成に繋げることを考えます。
    • 安全登山の観点から事故事例に学び共有することにより、遭難事故防止に努めます。
    • 中高年登山者への安全登山の普及、未組織登山者の組織化等、最近顕著になってきている現状をしっかりとみつめ現実的な対応を研究していきます。

  2. 競技登山

    • これまで同様、ジュニア委員会とも連携をとりながら選手の発掘と育成に取り組み競技力の向上に向けた支援を行います。
    • 指導委員会とも連携しながら20年度から実施された国体種目変更に対応する組織形態の確立、審判員などの育成に努めます。
    • 第6回山岳スキー競技日本選手権大会会兼第3回山岳スキー競技アジアカップの地元開催に協力していきます。

  3. 国際登山・国際交流

    • 国際登山をめぐる厳しい情勢を鑑み、協会員の国際登山実施のために、組織的な研究、工夫、努力をします。

  4. 事業部

    • 昨年よりはじめた長山協ミーティングがさらに有意義なものとなるよう計画を煮詰め実施します。
    • 新たな課題、例えば日山協特別共済への対応方針等を他の委員会との連携により研究検討し、長山協の行うべき事業の方向性を研究していきます。

  5. 医科学

    • 「SPO2データ収集」、「やまなみへの寄稿」、「山のセミナー講演」等、医科学委員会での研究の展開と協会員への普及を促進します。

  6. 事務局(総務・財務・やまなみ・ホームページ)

    • やまなみとホームページのそれぞれの特性を活用した情報発信の実施に努めます。
    • 紙ベースの情報と電子データを併用しながら、情報伝達が効率的に果たされるように努めます。
    • ホームページの充実、適切な情報更新のための方策を検討し、実施します。
    • 支出節約と収入の確保に努めた財務運営を継続します。

  7. 長山協50周年記念事業準備

    • 2011年に迎える長山協50周年に向けて、実行委員会と理事会が両輪となって準備を推進します。