事務局 2012年度活動方針


震災後一年を経過しました。しかし復旧、復興の道はまだほど遠いのが現実です。世界的な経済不況も先が見えません。この厳しい事態の中で、我々山に登る者にできることは何でしょうか?昨年度私たちは「山に登る者が山に登ることを通じてできることを考えていく」そんな年にしようと、通常の事業に加えて、50周年事業を進めてきました。
本年度は、さらに「前を見て進んでいくことで希望と勇気を示す」そんな一年にしていかねばなりません。「信州の山に登り、学び続け」てきた50周年の歩みの上に、新たな未来を展望するような協会運営に心がけて行きたいと考えています。
ここ何年か中高年一色だった「山」に少しずつ変化が現れてきているようにも思われます。昨年もてはやされた「山ガール」に引かれるかのように若い男性登山者も心なしか増えているように思います。山岳会の会員減少、高齢化が言われる昨今ですが、山岳協会に加盟している加盟団体の中にも、若い会員が少しずつ加入しているところもあります。50周年事業や北信越国体の運営を通じて横のつながりも生まれてきています。加盟団体の協力を求めながら、我々自身の登山がさらに充実したものになる新たな一歩を踏み出す一年にしていきたいと考えています。
そのためには「登山活動を行うための山岳協会であること」という原点に立ち返って、目的、意義を明確にした協会構築を目指していきたいと思います。支部、委員会それぞれが様々な事業を計画していますが、何のためにやるのかを明確にした上で、これらを協会員へ広く周知し、協会活動と協会員の登山活動との関わりの理解を深めていきます。そのために各委員会の連携を今まで以上に密にし、効果的かつ効率的な事業実施を検討し、委員会活動の活性化についても研究検討を行います。また、昨年に引き続き支部活動への副会長等の参画を推進し、相乗的な活性効果を目指します。
今年度から3年間、長山協は「NPO法人信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」と共同で、山岳総合センターの指定管理者に選定されました。我々は山岳総合センターを今まで通り「山岳に関する研究、調査と健全な登山の教育事業の場」として機能させていくことが長山協の使命であると考えて困難を承知で名乗りを上げました。その意味で指定管理者としてこの一年は正念場となります。協会の中に山岳総合センター運営委員を位置づけ、専任の職員をおいて運営をしていくことになります。実際に現場で運営にかかわる者はもちろんですが、それ以外にも指導員を中心に多くの協会員の皆さんの協力をお願いする中で、我々の思いが具現化できるセンターにすべく務めていきます。
また、多くの方々のご協力で実現した山岳図書資料館の運営も今年度から具体化します。山岳文化の殿堂としてのこの資料館の果たす意味は大きいものとなるはずです。協会員の皆さんの意見も参考にしながら使い勝手のよい施設となるように育てていきます。
長野県山岳協会の51年目の新たな出発の年として、これらの諸事業を通し、社会的に認知される山岳団体として、より一層足腰が強く一丸となった協会を目指し、同時に協会員に有益な態勢を整えるために関係機関への働き掛け、協会の持つ能力の社会還元に取り組んでいきます。

登山の普及・技術の向上・啓発活動
支部による夏山登山教室のさらなる充実に努めます。
山岳センターの運営に参画し、様々な機会を捉えた正しい登山の普及を推進し、併せて協会員への還元を促進します。
自然保護と登山者の果たすべき役割、共生のための一定の方向性を導き出す活動を関係機関とも協議しながら推進します。
2009年度から取り組みを始めた山のトイレ問題や野生生物と山岳環境についての学習などを通して、更に踏み込んだ状況把握に努め、その方向性を探ります。
ジュニア層の育成を考え、クライミングジム等との連携や登山を通じた自然体験など幅広い活動を具体的に推進するとともに、学校登山への支援について検討を行い安全で楽しい登山への誘いの可能性を探り、将来の登山愛好者育成に繋げることを考えます。
安全登山の観点から事故事例に学び共有することにより、遭難事故防止に努めます。
中高年登山者への安全登山の普及、未組織登山者の組織化等、最近顕著になってきている現状をしっかりとみつめ現実的な対応を研究していきます。
「SPO2データ収集」、「やまなみへの寄稿」、「山のセミナー講演」等、登山者の立場に立った医科学委員会での研究の展開を進め、協会員への普及を促進します。

競技登山
競技部とジュニア委員会が連携をとりながら選手の発掘と育成に取り組み競技力の向上に向けた支援を行います。
競技部と指導委員会が連携して2008年度から実施された国体種目変更に対応する組織形態の確立、審判員などの育成に努めます。

国際登山・国際交流
国際登山をめぐる厳しい情勢を鑑み、協会員の国際登山実施のために、組織的な研究、工夫、努力をします。
長年培ってきた国外の山岳団体との企画等を通じ、交流を深めます。

事業部
新たな課題、例えば日山協特別共済への対応方針等を他の委員会との連携により研究検討し、長山協の行うべき事業の方向性を研究していきます。

事務局(総務・財務・やまなみ・ホームページ)
やまなみとホームページのそれぞれの特性を活用した情報発信の実施に努めます。
紙ベースの情報と電子データを併用しながら、効率的な情報伝達に努めます。
ホームページの充実、適切な情報更新のための方策を検討し、実施します。
支出節約と収入の確保に努めた財務運営を継続します。

山岳図書資料館
4月に開館する「山岳図書資料館」について、山岳図書資料館運営委員を中心に大町市と協議してよりよいものとなるよう協力をしていきます。

山岳総合センター
指定管理1年目の「長野県山岳総合センター」の運営が軌道にのるよう、山岳総合センター管理部員を中心に「NPO法人信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」と協力して事業を進めます。